【ポジショニングマップとは】スタバ/ドトールなどカフェ市場で分析

カフェ業界で学ぶポジショニングマップ

ポジショニングマップは、自社やブランドが市場の中でどのような立ち位置をとっているかを可視化するフレームワークとして、広く活用されています。本記事では、カフェ業界を例に取りながら、スターバックス、ドトール、タリーズ、コメダ珈琲、ベローチェ、ルノアール、コンビニコーヒー、マックカフェといった主要プレイヤーを具体的に比較しつつ、ポジショニングマップの作り方や分析のポイントを解説します。カフェは多くの人にとってとても身近で、様々な価格帯やコンセプトのお店があるので、ポジショニングマップを学ぶのにも良い題材です。ぜひ最後までご覧ください。


この記事でわかること

  1. ポジショニングマップとは何か?
  2. ポジショニングマップを作る際のポイント
  3. カフェ市場を具体例で解説

ポジショニングマップとは

ポジショニングマップは、市場における「自社(自ブランド)の立ち位置」を、競合他社と比較して視覚化するための図です。横軸と縦軸に別々の指標を設定して、自社と競合他社をそのマップ上に配置することで、市場における相対的なポジションがひと目で把握できます。

たとえば「高価格帯/低価格帯」「メニュー数が豊富/少ない」「セルフサービス/フルサービス」といった軸を組み合わせれば、「どの層をターゲットにしているか」や「どう差別化を図っているか」などが分かりやすくなります。

このポジショニングマップは、以下のようなときに役立ちます。

  • 競合他社との差別化ポイントを明確にしたいとき
  • 事業計画や投資家向けプレゼンで自社の優位性を示したいとき
  • マーケティング戦略を立てたい/再考したいとき

STP分析とポジショニング

ポジショニングを定めるための代表的なフレームワークに、「STP分析」があります。これは以下の3つのステップの頭文字をとったものです。

  1. セグメンテーション(Segmentation):市場を細分化する(年代・地域・嗜好・購買頻度などで分類)
  2. ターゲティング(Targeting):細分化した市場(セグメント)の中から、自社が狙うべき顧客層を選定する
  3. ポジショニング(Positioning):選んだセグメントで、自社がどんな立ち位置をとるか明確にする

この流れで整理すると、「誰に、どんな価値を提供するのか」が明確になり、その結果としてポジショニングマップを使いながら、自社・競合の位置づけを可視化するのが一般的です。


ポイントは縦横軸に何をとるか

ポジショニングマップを作る際、まず重要なのが「どんな指標を使うか」です。指標は複数の軸が考えられますが、以下のように“お客様の選択基準”や“ビジネス視点”で重要と思われる要素をピックアップすると、より実用的なマップが作れます。

  • 価格(高価格帯/低価格帯)
    カフェだと「一杯あたりの平均価格」や「客単価の平均」などで設定することが多いです。
  • メニューの幅(豊富さ/限定的)
    ドリンクメニューに限らず、食事メニュー、スイーツなどのバリエーションの有無もポイントです。
  • 店内での滞在ニーズ(長時間ゆっくり/サッとテイクアウト)
    商業施設や駅前のセルフサービス型カフェは“短時間利用”がメインであったり、逆にソファ席が多いお店は長居しやすかったりしますよね。

ポジショニングマップは、一度に2軸しか示せません。しかし、軸を変えることで、多角的に「市場や競合の立ち位置」を把握できるようになります。


カフェ市場をポジショニング①:価格帯 × メニューの豊富さ

それではまず、「価格帯 × メニューの豊富さ」のマップ例を見てみましょう。ここでは「高価格帯/低価格帯」を縦軸に、「メニューのバリエーション豊富/それほど多くない」を横軸にとります。

  • 高価格帯・メニュー豊富ゾーン
    • コメダ珈琲店
      実はドリンクだけでなくパンやサンドイッチ、スイーツのバリエーションも充実しています。モーニングセットも人気で、店舗の居心地は抜群。
    • スターバックス(Starbucks)
      季節限定ドリンクやフードメニュー、地域限定商品など常に新しいラインアップが登場。価格はやや高めですが、高品質コーヒーと居心地の良さが魅力です。
    • タリーズコーヒー(Tully’s)
      「シアトル系」でコーヒーにこだわりがあるだけでなく、スイーツや軽食も充実。スタバよりほんの少し低めか同等の価格帯に位置しますが、パスタなどの食事もあり、ドリンクメニューの種類も多彩です。
  • 高価格帯・メニュー少なめゾーン
    • ルノアール
      老舗のクラシック喫茶店。価格はやや高めですが、オムライスやサンドイッチといった軽食はあるものの「定番中心」で拡張的なメニューは少なめ。落ち着いた雰囲気を提供し、ゆっくり過ごしたい人向けです。
  • 低価格帯・メニュー豊富ゾーン
    • マックカフェ
      マクドナルドが手掛ける「カフェライン」。一杯100円台~のコーヒーやスイーツを揃えています。店舗によってはケーキやマカロンなどもあるため意外とメニューは多彩です。
  • 低価格帯・メニュー少なめゾーン
    • ドトールコーヒーショップ
      リーズナブルな価格帯で、サンドイッチなど軽食も充実していますが、基本ラインは割と定番中心。テイクアウト利用も多いお店です。
    • ベローチェ
      こちらも価格を抑えて、ホットドッグやサンドイッチなど、素早く提供できる軽食が中心です。
    • コンビニコーヒー
      セブン-イレブンやローソンなどが提供する「淹れたてコーヒー」。とにかく安く、手軽に購入できる反面、メニューはほぼ「ホットかアイスか」など限られたバリエーションです。

実際の店舗によって細かな差はあるものの、「価格帯とメニュー量」で大まかに分けると、これくらいの分布になるイメージです。高価格帯はその分、内装や接客など“体験価値”を高めているところが多く、低価格帯は“手軽さ”と“スピード”が売りになっていますね。


カフェ市場をポジショニング②:価格帯 × 滞在型/テイクアウト

続いては「価格帯 × 滞在型/テイクアウト」を軸にしたマップをイメージしてみましょう。ここでは縦軸に「高価格帯/低価格帯」、横軸に「滞在型(ゆったり)/テイクアウト(短時間)」を設定します。

  • 高価格帯・滞在型
    • ルノアール
      店内はクラシカルで落ち着いた雰囲気。やや高めのドリンク代でも、ゆったり座れてビジネスの打ち合わせにも適しています。
    • コメダ珈琲店
      モーニングなどのセットがあり、ソファ席で長居しやすい。価格は比較的抑えめですが、店内利用をメインとしたフルサービスなので、“滞在型”に入ります。
  • 高価格帯・テイクアウト
    • スターバックス
      実際にはゆったり滞在も可能ですが、近年は「モバイルオーダー&ペイ」など持ち帰り需要も増加。値段はやや高めですが、テイクアウトが強いブランドともいえます。
    • タリーズコーヒー
      スタバ同様にちょっと高めですが、ビジネス街や駅ナカ店舗では“さっと買って持ち帰る”利用も増えています。
  • 低価格帯・滞在型
    • マックカフェ
      比較的安価で、店舗によってはイートインコーナーがしっかり設けられており、若い層が長時間過ごすケースも。
    • ベローチェ
      セルフサービスではあるものの、店内席でそこそこゆったりできる店舗もあります。価格が安いので長居しやすいという面も。
  • 低価格帯・テイクアウト
    • ドトールコーヒーショップ
      忙しいビジネスパーソンの朝食や昼食ニーズに対応しやすく、さっと買ってオフィスに戻る人も多い印象。
    • コンビニコーヒー
      スピードと安さを追求。ほぼテイクアウト専門で、その場に滞在する余地はありません。

このように、「店舗そのものが滞在を推奨しているか」「持ち帰りをメインとしているか」でも、カフェ市場を大まかに俯瞰できます。実際には同じブランドの中でも立地や店舗規模によって差異はありますが、「滞在型を重視するならこういう店づくりに」「テイクアウト特化ならオペレーション改善が重要に」という視点を整理しやすいマップです。


コラム:「バシャコーヒー」の日本進出

ここまで国内主要チェーンの分析を見てきましたが、カフェ市場には新たな競合やブランドも続々と参入しています。その一つが「バシャコーヒー」です。

モロッコ発祥の老舗コーヒーブランドで、1910年にマラケシュの宮殿内で創立されたとされます。2025年には銀座5丁目に日本初の旗艦店をオープン予定。路面店として、世界各国のアラビカコーヒー豆を丁寧にハンドローストし、ギフト販売やテイクアウト、そしてサロン形式のテーブルサービスも行うなど、多彩な体験を提供すると発表しています。

これまでモロッコ式のコーヒーカルチャーに触れる機会は日本では限られていましたが、銀座に登場することで一気に注目度が高まりそうです。また、東急グループとのフランチャイズ契約によって都内を中心に出店を拡大すると見られ、“新しいカフェ体験”を求める層を獲得する可能性があります。価格帯やサービス形態がどう設定されるかは今後の展開次第ですが、カフェ市場をさらに活性化してくれることが期待されますね。


カフェ市場では、チェーン同士はもちろん、コンビニやファストフード店舗との競争も激化しています。価格設定やメニュー開発、店舗コンセプトの明確化など、どのカフェも工夫を凝らしながら市場を開拓している状況です。

  • ポジショニングマップを描いてみると、ブランドごとに「価格帯」や「商品ラインナップ」「滞在ニーズへの対応度」などに違いがあることがよくわかります。
  • カフェに限らず、ポジショニングマップを使うことで、自社(自店舗)はどの軸で勝負し、どの顧客層にアピールするべきかがより明確になるでしょう。

もしあなたがカフェビジネスや新商品の展開を検討しているなら、まずはSTP分析やポジショニングマップを使って、顧客が求める価値や競合状況を“見える化”してみるのがおすすめです。お客様にとって最も魅力的なポジションを確立できれば、価格競争やコロナ禍など外的要因の変化があっても、ブランドの強みを活かし続けることができるはずです。