株式会社MIXIが新たにリリースした「mixi2」は、かつて一世を風靡したSNS「mixi」の新たな挑戦と言えるでしょう。この記事では、mixi2の特徴や、現在のSNSトレンドとの比較、そしてこの復活が意味する「復活マーケティング」について整理し、考察したいと思います。
mixiとは何か?そしてmixi2が目指すもの
mixiは、2000年代初頭に日本において爆発的な人気を博したSNSです。コミュニティ機能を軸に、日記や写真共有など、ユーザー同士の交流を深めるための機能が充実していました。筆者自身も、大学生の時にmixiを愛用していました。人生で始めて使ったSNSで、足あと機能など、本当に「エモい(死語)」機能が満載だったと今は思います。
しかし、Twitter、Facebook、Instagramなど、グローバルなSNSが物凄い勢いで広がり、時代の変化と共に利用者が減少し、かつての勢いは失われていました。mixi2は、そんなmixiの遺伝子を継承しつつ、現代のSNS環境に合わせた新たなサービスとして生まれ変わりました。特に重視されているのは、「つながり」です。
他のSNSとmixi2の違い
現在のSNSは、アルゴリズムによるレコメンド機能が非常に発達しています。例えば、X(Twitter)やInstagramでは、ユーザーの興味関心に基づいてタイムラインが形成され、新たな情報やコンテンツが次々と提示されます。しかし、このレコメンド機能は、一方で「広告やインフルエンサーに振り回される」「本当に知りたい情報にたどり着けない」「エロ・ゴシップ・グロ系などのインプ稼ぎコンテンツの蔓延」といった課題も抱えています。
mixi2は、このようなレコメンド機能に過度に頼るのではなく、ユーザー自身が積極的につながりたい人とコミュニケーションを取れるように設計されているようです。タイムラインには、フォローしているユーザーやコミュニティの投稿が時系列で表示され、より人間らしい交流を促しています。
テキストに感情を込めることができる「エモーションテキスト」と、それに反応できるSlackっぽい「リアクション」は、コミュニケーションをより豊かにしているように感じます。
また、今のところ目立った広告も表示されないため、多くのユーザーから「快適に使用できる」という声が聞こえます。ただし、これからmixi側のマネタイズに向けてこの状況は変化する可能性は十分にあると思います。
復活マーケティングの成功例
mixi2の復活は、「復活マーケティング」(筆者が勝手に命名)が成功する可能性を示唆しています。復活マーケティングは、過去に人気があった商品やサービスを、現代のニーズに合わせて再発売することで、新たな顧客を獲得する戦略です。
mixi2の成功は、以下の復活マーケティングの成功例を想起させます。
- FUJIFILM「写ルンです」(1986年に発売されたものが2018年頃再ブーム)
- チェキ(結婚式などイベントでよく使われている)
- ファミコン(ファミコンミニとして2016年に発売)
- たまごっち(1996年に発売され、2017年に復活)
- ポケモン(2016年にポケモンGOとして大ブレイク)
- 書籍のリメイクや漫画家(太宰治の名作などがカバーをリニューアル)
- カバー曲(過去の名曲を他の歌手がカバー)
復活マーケティングのメリット
復活マーケティングを活用することは、事業者側にも大きなメリットがあるように思います。
まず、過去にブレイクしていたことが前提なので、一定の世代には初めから認知があり、認知度向上のためのプロモーション労力を軽減することができます。そして何より、商品の新規開発ではないため、開発費やその労力は非常に少なく済みます(mixi2の場合はアプリケーションを新たに開発はしています)。さらに、過去の企画背景や販売結果データがあることで、担当者は企画を立てやすいでしょう。
また、流行から10年以上の期間を置くことで、過去のターゲット層から新しいターゲット層へと広がりが生まれます。例えば、ポケモンであれば、20年前に熱中していた当時小中学生だった現在30歳前後の層が、懐かしさのあまり最初に飛びついたでしょう。その熱中ぶりを見た他の世代も、過去にはターゲットではなかった層まで巻き込む結果となります。もちろん、この事例はVRを使ったコンテンツの面白さがあってこその大成功ではありますが。
背景にある顧客心理
10年以上も前に流行したものに今さら飛びつく顧客心理とは何でしょうか。それは過去に熱中した人が「懐かしい感情」を抱くことだと思います。最初に流行し、熱中した後は「もう古い」「飽きた」と思って、その商品から離れたはずです。しかし、10年、20年という時間が経過することで、「もう古い」という感情が「懐かしい」という感情に変化するのです。
ただし、もちろん過去に社会変化レベルの「ブーム」になっている必要があります。そして、タイミングを見誤ると、顧客は「古い」という感情を持ち続けたままかもしれません。
mixi2の今後
mixi2は、単なる懐古趣味ではなく、現代のSNSが抱える課題に対する一つの答えと言えるでしょう。コミュニティ重視のシンプルなインターフェースは、多くの人々に受け入れられる可能性を秘めています。ただし、mixi2はまだサービス開始されたばかりでありどうなるかはわかりません。一過性のブームに終わってしまう可能性も十分にあります。今後のmixi2の動向に注目していきたいと思います。