この記事は、「マーケティング職に興味があるけれど、何から学べばいいかわからない」「マーケターとしてさらに成長するには、どんなスキルが必要なんだろう」という方に向けた内容になっています。
「マーケティング=Web広告運用/SNS運用」というイメージを持つ方も多いです。たしかに、Google広告やSNS広告を使った集客施策はマーケティングの重要な一部です。しかし、それはあくまでマーケター職の仕事の一部に過ぎません。
マーケティングとは本来、「誰に、何を、どうやって届けるか」を設計し、商品やサービスの価値を最大化する活動全体を指します。したがって、広告運用だけでマーケティングを語ることはできないのです。筆者はこれまで10年以上、事業会社でマーケターとして働きながら、MBAでマーケティングを体系的に学んできました。その経験から考える「マーケティング実務家に求められる知識とスキル」について、この記事でまとめてお伝えしたいと思います。
マーケターに求められる3つの力

まず結論からお伝えすると、マーケターとして成果を出すためには、次の3つの力が必要です。
- 専門知識:マーケティング理論、分析統計、心理学、ITなど
- 業界知識:自社の商品、顧客、競合の深い理解
- ソフトスキル:コミュニケーション力、リーダーシップなど
いわゆる3C分析や4Pなどのマーケティングフレームワークは、確かに重要な道具です。ただ、それだけでは「頭でっかち」なマーケターで終わってしまいます。マーケターのパフォーマンスは、知識やスキルの掛け算で決まります。専門知識に加えて、現場で通用する業界理解と、周囲を巻き込む人間力がなければ、成果にはつながりません。
専門知識:戦略からWeb施策まで
マーケターとしてまず身につけたいのは、体系的な専門知識です。これは業界を問わず共通して求められるもので、以下のように分類できます。
- 戦略論:マーケティングの基本ともいえる3C、STP、4P、SWOTなどのフレームワーク。市場分析やポジショニングの設計などに不可欠です。
- 分析スキル:統計的な視点やExcel、Google Analytics、BIツールなどの操作スキル。数字に基づいて仮説を立て、改善を繰り返す力が求められます。
- 心理学:消費者の行動や意思決定を理解するために、行動経済学や社会心理学の知識も役立ちます。特にB2C分野では欠かせません。
- クリエイティブ・コピーライティング:広告の見出しやLPの構成、バナーの訴求文などを考えるうえで、言葉やデザインの基本センスも大切です。
- IT・Webの理解:SEOやSNS運用、Web広告、アプリ開発の基本など、いわゆる「Webマーケティング」もこの一部です。ただし、これだけがマーケターのすべてではありません。
これらの専門知識は比較的、書籍やセミナー、オンライン講座などで体系的に学びやすい分野です。だからこそ、努力次第で誰でも身につけられます。
業界知識:社内事情も含めた深い理解
いくらフレームワークや理論を知っていても、それを活かせなければ意味がありません。そのためには、自社や顧客、競合に関する“現場感覚”を養う必要があります。
- 顧客理解:顧客の行動、価値観、ライフスタイルを深く理解することがすべての起点です。インタビューやデータ分析を通じて仮説を検証していきます。
- 商品理解:自社の製品・サービスを、ユーザー目線で語れるようになるまで使い込むこと。社内資料だけではわからない「体感」が重要です。
- 競合理解:競合他社の強み・弱み、市場での立ち位置、施策の傾向を把握すること。競争優位性を見極めるヒントになります。
- 自社の業務理解:マーケティング部門だけで仕事は完結しません。営業、開発、カスタマーサポートなど他部署との連携が不可欠なため、自社の業務フローや文化も理解しておく必要があります。
こういった業界知識は一朝一夕では身につきません。地道に観察・体験・対話を重ねることで、自分の“肌感覚”として積み上げていくものです。
ソフトスキル:周囲を動かす力が成果を生む
最後に、どんなマーケターでも避けて通れないのが「人間力」です。特に事業会社では、マーケティングの仕事はチームで進めるのが基本。専門知識や業界理解があっても、人を動かす力がなければ実行フェーズでつまずきます。
- コミュニケーション力:部署間の調整、ステークホルダーとの合意形成、企画の提案力などが含まれます。ロジカルに伝える力と、相手の感情を汲む力の両方が必要です。
- リーダーシップ・マネジメント:特にプロジェクトの責任者や中堅以上の立場になると、周囲を巻き込みながらゴールに向けて推進する力が求められます。メンバーのマネジメントや、外注先との折衝も重要な業務です。
- 語学力(グローバルな現場で働くなら):外資系や多国籍なチームで働く場合、英語や中国語などの語学力が必要になるケースもあります。私自身、かつて中国・上海で働いた際は、最低限の中国語スキルが業務の円滑化に直結しました。
まとめ:マーケターは総合力
マーケティングの世界では、「どんな知識やスキルがあるか」よりも、「知識と実行力をどう組み合わせるか」が問われます。
- フレームワークを知っているだけでは不十分
- 広告運用だけできても、全体戦略が描けなければ意味がない
- 実行力だけでも、数値で効果を検証できなければ再現性がない
だからこそ、専門知識・業界理解・ソフトスキルの3つの力をバランスよく育てることが、実務家マーケターとしての成長につながります。マーケティングという仕事は、単なる“スキルの習得”ではなく、「価値を届ける」仕事です。常に学び続け、周囲と協働し、試行錯誤を重ねながら成果を出していく。そんなマーケターの道のりを、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。