【衝動買いの心理とは】マーケティングで”非計画購買”を促す方法

【衝動買いの心理とは】マーケティングで衝動買いを促す方法

皆さんは、買い物をしているときに「これ、予定にはなかったけどなんとなく欲しいな…」という気持ちが湧いてきて、ついつい商品を手に取った経験はありませんか? たとえ特別必要ではなくても、「今買っておかないと損かも」と思って買ってしまう。いわゆる「衝動買い」が起こる瞬間です。実は、衝動買いは私たちの身近にあり、日常的に繰り返される行動のひとつといわれています。マーケティングの世界でも、この衝動買いをどのように促すかは非常に重要なテーマとなっています。なぜなら、「消費者の買い物の8割は衝動買いによって成立している」という説もあるほど、衝動的な行動が購買活動の中心を担っているからです。

本記事では、衝動買いの心理とは何か、そして衝動買いを促すための具体的な手法にはどのようなものがあるかについて解説します。いわゆる「計画購買」と「非計画購買」という2つの購買パターンを対比しながら、実際に活用できる事例もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事でわかること

  1. 衝動買いとは何か:どのような心理が働いているのか、なぜ計画外の買い物をしてしまうのかを解説します。
  2. 計画購買と非計画購買の違い:あらかじめ買うものを決めていた場合と、予想外の買い物をする場合、それぞれどんな特徴があるのかを整理します。
  3. 非計画購買(衝動買い)を促す方法:実店舗やECサイトなど、さまざまなビジネスで活用できる具体的な手法や事例を取り上げます。

「計画していなかったのについ買ってしまう」という衝動の背景には、どんな心理トリガーが隠れているのでしょうか。マーケティング施策としてどんなポイントに注目すればいいのでしょうか。皆さんのビジネスにもヒントが得られるはずです。

衝動買いとは

「衝動買い」とは、あらかじめ購入予定がなかった商品を、その場の思いつきや感情に左右されて買ってしまう行動を指します。いわゆる計画的な買い物をする際は「必要だから」「欲しかったから」といった明確な理由があることが多いですよね。しかし、衝動買いには「お得そう」「かわいいから」「期間限定だから」など、瞬間的に心を動かされて思わずレジに持っていく心理が働いています。

冒頭でも触れたように、いくつかの調査では消費者の購買行動の約8割が衝動買いだと報告されています。これは、「気づいたらなんとなく買ってしまった」というパターンがいかに多いかを示しています。たとえば、スーパーに夕飯の食材を買いに行っただけなのに、ついでに割引品やスイーツまでカゴに入れてしまったり、ネットショップで本だけ買うつもりが、関連グッズやアクセサリーなど目についた商品もついポチってしまったり、そうした経験が誰しも一度はあるのではないでしょうか。

マーケティングの観点から見ると、衝動買いは「いかに消費者をその気にさせるか」がポイントになります。たとえ商品に対する必要性が明確でなくても、感情を揺さぶるような要素や希少性を感じさせる訴求があれば、人は思いがけず購入へと踏み切るものなのです。


計画購買と非計画購買

消費者の購買パターンは、大きく分けて「計画購買」「非計画購買」の2種類があります。この2つのパターンを理解しておくと、マーケティング施策を考えるうえでも役に立ちます。

計画購買

計画購買は、事前に「何を買うか」「いくらまで使うか」をある程度決めておき、そのために店舗やネットショップに向かう行動を指します。

  • 例:
    • 「今夜のカレーを作るために、にんじん・じゃがいも・カレールウを買おう」
    • 「好きな漫画の最新刊が発売されたので、本屋さんに買いに行こう」

このように、購入の目的がはっきりしていて、ある程度は冷静に「必要だから買う」という意識が働いている状態です。衝動的に「何か面白そうなものはないかな?」と考えているわけではないため、予想外の商品の購入に至る可能性は低めです。

非計画購買

一方、非計画購買は、買うものが事前に決まっておらず、「欲しいものがあればその場で考える」といった比較的フリーな買い物スタイルです。「衝動買い」はこの非計画購買の典型的な一形態です。

  • 例:
    • 「街をぶらぶらしていたら、ウィンドウに飾ってあったかわいいシャツが目にとまって、つい買ってしまった」
    • 「待ち合わせの時間つぶしに本屋に入ったら、面白そうな新刊を見つけたので購入した」

非計画購買は、商品との偶然の出会いや、そのときの気分、店内での陳列・ポップ(POP)広告などによる気づきによって引き起こされます。ここでは、感情や直感的な判断が大きく作用しやすいという特徴があります。


非計画購買を促す方法の事例

衝動買いにつながる「非計画購買」を引き起こすマーケティング手法は、多くのビジネスシーンで活用されています。なぜなら、計画購買がすでに商品を“買う気満々”のお客さまをターゲットにするのに対し、非計画購買では「まだ購入意欲の強くない層」にアプローチできるからです。以下では、実際によく使われる具体的な方法や事例をご紹介します。

1. ECサイトで「おすすめ商品」を表示する

ネットショップでは商品ページの下部やサイドバーに「おすすめ商品」や「あなたにおすすめ」という形で関連する商品を提示することが多いですよね。これは、消費者がもともと探していた商品とは別のアイテムにも目を向けさせることで、「そういえば、これも欲しいかも」という気持ちを喚起し、非計画購買につなげる狙いがあります。

2. 「関連商品」をセットで見せる

たとえば、カメラを買おうとしている人に対して、レンズや三脚、カメラケースなど関連する商品をまとめて提示する手法です。もともとの購入目的はカメラだったとしても、「せっかく買うならレンズも必要になるかも」「このケースがないと保管に困りそう」と思わせることで追加購入の可能性を高めます。

3. レジ近くに低額商品を陳列

実店舗では、レジ付近のスペースにお菓子や小物、雑貨などを配置している光景をよく目にしますよね。これは「会計を待っている時間」に「ちょっとつまめるチョコレート」「ちょっと欲しくなる雑貨」などを見せることで、衝動買いを誘う戦略です。金額が低めの商品であれば、「まあ、これくらいなら買ってもいいか」という軽い気持ちになりやすいのもポイントです。

4. 使用目的が近い商品を並べる

スーパーマーケットなどでは、調理器具の近くに特定の食材を置いたり、アウトドアグッズのコーナーにバーベキュー用の食材が並んでいたりすることがあります。「あ、バーベキューセットを買うんだったら、この肉やソースも一緒に買わないと!」という具合に、セットで購入する必要性を消費者が自然に感じ取るような工夫です。

5. POP広告や店員の声かけで必要性を喚起

店頭ポップ(POP)や店員のアプローチによって、「この商品は今売れています」「こういう用途に使えますよ」と説明を受けると、消費者は「あ、思っていたより便利そう」と商品を改めて認識し、計画になかった購入を検討するきっかけを得ます。特に、用途やメリットを具体的にイメージさせるようなフレーズが有効です。

6. 割引やセールなど、お買い得感を強調

「期間限定セール」「まとめ買いでお得」などのお買い得感が前面に出ると、「いつもは買わないものだけど、この値段なら買ってもいいかも」と判断しやすくなります。数百円や数千円の値引きでも、「節約できる」「得した気分になれる」という心理効果は大きく、衝動買いを後押しします。

7. 限定性をアピール(本日限り・数量限定など)

「本日限り」「今週末まで」「数量限定」といった言葉は、消費者に「チャンスを逃すともう手に入らないかもしれない」という緊張感を与えます。限定性を持たせることで購入意欲がぐっと高まるのは、希少性に対する人間の本能的な反応とも言えるでしょう。


衝動買いは、日常生活のさまざまな場面で起こりうるごく一般的な行動です。計画購買が「必要だから買う」という理性的な面が強いのに対し、衝動買いは「欲しい」「気になる」「期間限定かも」という感情や気分に大きく左右される、いわば“感性的な購買行動”だと言えます。

そして、消費者の購買行動全体の大部分を占めるともいわれる衝動買いを戦略的に起こすには、以下のような工夫が有効になります。

  • おすすめ商品や関連商品の提示で「ついで買い」を誘導する
  • レジ付近に低価格商品を並べる・待ち時間を上手く使う
  • 使用目的が近い商品をまとめて陳列し、セット買いを促す
  • POP広告やスタッフの声かけで商品の必要性やメリットを強調
  • お得感(割引・セール)や限定性を演出し、購買意欲を刺激する

「計画購買」であれば、顧客は既に“買う気”の状態にあるため、そこから売り上げを伸ばしていくのは比較的分かりやすいアプローチです。しかし、まだ購入の決め手を持たない層を取り込むには、衝動買いを意識した演出が欠かせません。「人間は合理的にお金を使うわけではない」ことをふまえ、感情を動かす訴求をどう組み込むかが鍵となるわけです。

とはいえ、過度に「買わなければ損だ」というプレッシャーを与えるやり方は、顧客の信頼を損ねたり、クレームにつながったりする可能性もあります。大切なのは、あくまで消費者が「買ってよかった」と感じられる付加価値をきちんと提供することです。商品やサービスそのものの魅力を正しく伝え、ワクワク感や利便性を高めることで、結果的に衝動買いを後押しすることができます。

本記事でご紹介した事例は、どれも多くの企業が実際に使っている方法ばかりです。皆さんのビジネスでも、ぜひ「非計画購買(衝動買い)」を意識した戦略を検討してみてください。購入意欲がなかった層からの思わぬ成約が得られるかもしれません。